2020年10月10日(sat)
『 あしたのげいもり 』
札幌芸術の森美術館で、静かな芸術フェスティバルが開催された。
サウンドシステムは設備されず、イヤホンでフェス会場を練り歩く。
野外映画上映から、野外ライブステージ。
さらには、森に点在する造形美術に映える映像作品が展示される。
しかも美味しいコーヒーや軽食が、静かな車店で買える。
ほんとうに、静かで美しい芸術祭だった。
札幌は一年半ぶり。
僕を呼んでくれる、数すくないホーミータウン。
札幌のストリートダンサーから、はたまた大人座のボスまで。
マイメンがたくさんいる。
具体的にも母方の親戚全てがいる北の国。
ダンスバトルの審査員やTOBIU CAMPでの前衛ダンス舞台に呼んでくれた。
僕は札幌のDOPE ARTシーンには常々、衝撃と刺激を受けている。
今回は、大人座ボス IGAこと五十嵐しんちろから声をかけられた。
話を聞くと、ふむふむ、、、静かな森で踊る、、ふむ、、、オブジェあり、、、ふむ。
おもろ。
絶対にやりますと答えて結果、悩みに悩み初心であるクラブダンスショーケースを企画。
こんにちまで、生音ミュージシャンとのコラボが主なライブ形式だったけれど原点回帰。
中学生のころ観た、横浜のクラブで踊っていたアニキを思い出した。
昔のHIPHOPクラブイベントでは、ライブやDJタイムの合間に、ダンスショーケースが始まった。
僕は、その間のダンスショーケースで踊っていたスキンヘッドのアニキをみて踊りを始めた。
既成のトラックを選曲し自らミックスし、ダンス音源として編集した。
きづいたら、10分以上になっていた。
ストリートダンサーのソロダンスショーケースは基本、1分。
ジャッジムーブで3分以上踊って、かませるのはBrianGreenだろう苦笑
とにもかくにも、きづいたら10分以上踊りたい思いだった。
踊り続けて21年目。
34歳になるストリートダンサーの僕は、12分39秒のソロダンスショーケースミックスを用意した。
テーマは、「 魔王 」
ハロウィンに先立ち、クロノ・トリガーの魔王をイメージとし、黒い風を舞う。
約2年以上聴き続けた曲で構成し、舞台美術も椅子ひとつとオブジェ、基本シンプルにする。
近所氏神の境内で生まれたカラスが落とした羽を我が家のテラスで半年間、天日干した。
そのカラスの羽を頭に挿し、黒い風を舞った。
実際、本番を終えると急激な温度の低下と共に恐ろしい疲労感に襲われた。
本番前は変な声がたくさん聞こえ始めていた。
イメージとしてはデビルマンの世界観。
奇声というか、、けど、基本笑い声だった。
あるときは寝起きに「お前、食っちゃうよ?」と耳元で囁かれた。
基本的に幻聴を信じない僕は、内面の心の声だと思ってる。
にしても、、、食っちゃうよってどういうことだろうと考えていた。
僕は、生きている。
今は魔王とともに、生きている。
クロノ・トリガーの魔王は泣いていた。
なぜなら、彼の宿命は実の姉を取り込んだラボスを倒すことだったからだ。
あまりにも切なすぎる、天空の城。
中世で、魔王の城を見上げた時、素直に「かっけ」と思った一人の少年だった。
生きることの儚さと、痛み、悲しみ、、全てが幽霊と共に漂っていた。
それでも頂上に君臨する彼は、極めて美しかった。
爪先立ちで立つ、後ろ姿の首は生きていた。
仲間にしたいという以上に、自己投影した。
まだ踊り始める前、小学生だったころの僕。
あのときの亡影を引っ連れて、踊りきる。
破れたマスクが、転がっていた。
コロナが良くなればいいって本心から思う。
もう、みんな正直マスクには疲れている。
魔王のマスクを皆の目の前で破っていた。
魔王が結果、脱コロナのテーマ性と繋がったのは意外だった。
失望から希望の完璧な変性。
個人的には反省点は尽きないにしろ、、、
あしたのげいもりで踊らせてもらえて、本当に幸いだった。
用意されていた舞台は、完璧に魔王だった。。。
呼んでくれたIGAも、照明さんも、音響さんも、共演者さんも、イベントスタッフさん、お客さん全て。
札幌芸術の森美術館で渦巻いていた磁場は、全てが「希望」のバイブスだった。
本当に、最高だった。
次なる魔王はさらなるクオリティを目指したい。
ただ、今回の魔王は原石として最初にして最後の舞台として終演。
大きな原石、これ以上ない宝物。
大切に磨き上げていこうと決心する。
一舞一生
OBA
2020 / 10 / 15 05:53
ps...
ミュージシャン 曽我部さんとのコラボレポートは改め致しMAX!!!(まじでやばかった。)
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