2020年5月31日日曜日

「戦友 」




共に同じ時代を生きる友よ。
若かりし頃の俺たちは無責任だった。
何も守るべきものはなく、あるのは野望のみ。
振り返ることは一切なく、常に前を見ていた。
恐れるものはなく、日々を猛進していた。
お前の目を見ると、そこに自分を見た。
目を見合わせる度に、互いの核心を確認できた。
俺たちは間違っていない。
会うたびに、そう信じることができた。
戦友よ。
あの時の、お前は今もそこにいる。
空を見上げると同じ地球に生きていることを知る。
そのことを激しすぎる日常で忘れていた。
今も生きている戦友よ。
今の生き様を信じれているか。
俺は今もなお、不器用ではあるが自分の核心を確信している。
あのとき、喧嘩したことも互いに泣きあったことも忘れてはいない。
痛みや苦しみは結局、必ず笑い声に変わっていた。
俺はお前を信じている。
戦友よ。
今もなお、俺の目にはお前の核心が映る。
時は流れる。
夢のように全てが過去になる。
年を重ねて後ろを振り返ることが増えた。
年を重ねて傷が増え、恐れることを知った。
守るべきものができて、無責任ではなくなった。
かつての少年の僕らは、いつしか大人になった。
戦友よ。
かつての俺らがバカにしていた大人は苦労していること。
年を重ねて知ったよな。
ある程度の仕事ができて、それに腰をかけている多数の大人。
彼らにも幸福があることを知った。
ただ、戦友よ。
俺らは大人になっても、変えれない核心がある。
芸術は無条件であるべきだ。
今日も戦っている、戦友よ。
幸あれ。

今、目に映る君の目の中に俺はいる。
今、目に映る俺の目の中に君はいる。

変えれない核心を生涯、互いの目の内で確かめ合えるだろう。

戦友よ。
夜は眠れ。

お休みなさい。

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